福岡市に福祉施設を建てるなら知っておきたい土地の規制

ここでは福岡市内で福祉施設の建設に適した用途地域の説明や、市街化調整地域に建てる場合の注意点などを解説しています。

福岡市内で福祉施設を建てられる用途地域の種類

福岡市内に限らず、都市計画法に基づいた用途地域が設定されており、それによって福祉施設を建てられる土地かどうかを判別できます。例えば、荒津地区の北側は工業専用地域に指定されており、工業設備以外の建設が認められていません。

また、第一種・第二種低床住居専用地域においても、グループホームなどのごく小規模な施設であれば、例外的に認可される可能性がありますが、原則は建設できないと考えた方が良いでしょう。それ以外の地域であれば、制度上は福祉施設の建設は可能です。

市街化調整区域に福祉施設の建設は可能か

上記で説明した用途地域が設定されていない地域もあり、それらは「市街化調整区域」と呼ばれています。これは都市計画法において市街化を抑制すべき区域と定められており、原則として各種建築物の設置・開発が制限されている区域です。

ですが、社会福祉施設をはじめとする公共性・公益性の高い建築物については、特定の条件を満たすことで、例外的に開発許可が得られる可能性があります。

市街化調整区域での開業にこだわることにはリスクがある

市街化調整区域の土地は、開発が制限されているために比較的安価で取引され、一見魅力的に見えます。しかし、安価で取引されている理由を正確に把握しなければ、事業成功の道は遠のいてしまいます。

事実、市街化調整区域の開発許可は行政の裁量による判断されるため、当該施設をその土地で開設する妥当性を論理的かつ具体的に立証しなければなりません。申し出を審査する期間も必要ですし、判断が下されるまで長いと年単位かかるため、事業開始時期が定まらない可能性があります。

また、施設の増築や別の福祉施設への用途変更の際に、新たに開発許可が必要になることも考えると、事業の柔軟性が失われかねません。

市街化調整区域で福祉施設の開設を考えられている場合は、開発許可申請の経験が豊富な行政書士や開発会社への相談が必要です。

防火地域・準防火地域の規制

都市計画法に基づく防火地域および準防火地域は、市街地における火災の延焼を防ぐことを目的として定められています。福祉施設は、火災時に自力避難が困難な利用者を収容する特殊建築物に分類されるため、通常の建築物よりも厳格な防火・避難基準が適用されます

建設プロジェクトにおいては、建設地の区分に応じて、主要構造部だけでなく、設備面においても高度な防火対策が必須となります。

防火地域に求められる建築基準

防火地域内では、建築基準法第61条により、建物の規模に応じて主要構造部を耐火構造とする義務が課されます

※参照元:e-GOV「建築基準法」
URL:https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201#Mp-Ch_3-Se_5

3階建て以上の建物 耐火建築物
延べ床面積100m²を
超える建物
耐火建築物
2階建て以下かつ
延べ床面積100m²以下の
建物
耐火建築物または準耐火建築物

延べ床面積が比較的小さい施設であっても、3階建てとする場合は耐火建築物としなければなりません。これは、火災発生時の構造躯体の倒壊防止、および避難時間確保を目的としています。

準防火地域に求められる建築基準

準防火地域は、防火地域に準じた規制が適用されますが、義務付けられる耐火性能は緩和されます

※参照元:e-GOV「建築基準法」
URL:https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201#Mp-Ch_3-Se_5

4階建て以上の建物 耐火建築物
延べ床面積1,500m²を
超える建物
耐火建築物
3階建てまたは
500m²超1,500m²以下
の建物
耐火建築物または準耐火建築物
2階建て以下かつ
延べ床面積500m²以下
の建物
一定の技術的基準に適合する建築物
(外壁、軒裏等に防火上の措置が必要)

福祉施設は、その規模(延べ床面積)に応じて、耐火建築物または準耐火建築物のどちらかを選択する必要があります。準耐火建築物とした場合でも、主要構造部には一定時間の耐火性能が求められます。

福祉施設特有の加重基準と防火設備

福祉施設は特殊建築物の中でも、特に避難の困難性(要介護高齢者、障がい者等)が高いと評価されるため、防火地域・準防火地域の基準に加え、建築基準法施行令に基づく厳しい追加基準が課されます

防火区画の厳格化

通常の建物に比べ、火災の拡大を抑制するための防火区画の基準が厳格に適用されます

  • 面積区画:火災が発生しても一定面積以上の延焼を防ぐため、壁や床で区画する制限が強化されます。
  • 竪穴区画:階段やエレベーターシャフトなどの上下階を貫通する「竪穴部分」に対し、火炎や煙の垂直移動を遮断します。

内装制限と防火設備

避難経路や居室には、火災時に有害なガスを発生させたり、急激な燃焼を引き起こしたりしないよう、難燃・準不燃・不燃材料の使用を義務付ける内装制限が厳しく適用されます。

また、以下の設備設置が不可欠です。

  • 排煙設備:避難経路となる廊下や居室からの煙を速やかに排出するための設備
  • 避難階段:外部へ安全に避難するための階段を設置

コストと設計への影響

これらの耐火・防火基準の順守は、建物の建設コストを大幅に増加させる要因となります。特に、木造などの非耐火構造で計画を進めようとした場合、耐火被覆や準耐火部材への変更が必要となり、設計の初期段階でコスト構造全体を見直す必要が生じます。

建築地の地域区分と、計画する施設の規模を正確に照合し、初期設計から耐火構造の専門家と連携することが、コスト効率と安全性を両立させるための絶対条件となります。

まとめ

福岡市での福祉施設建設において、用途地域や市街化調整区域、防火・準防火地域に関する3つの規制は、事業のコストやスケジュール、安全基準を決定づける絶対条件です。

福祉施設の建設には土地利用のリスク排除と建設コストのリスク管理が必須。そのためには、専門家との連携が必要不可欠です。

複雑な法規制を確実にクリアし、事業の確実性を高めるためには、都市計画法、建築基準法、および福祉施設基準に精通した建設専門家との早期連携をすることで考えられるリスクをできる限り回避できます。

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画像引用元:スエナガ公式HP
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(※1)参照元:共栄建設公式サイト(https://xzh5fewc.lp-essence.com/
(※2)参照元:独立行政法人 福祉医療機構「2023年度 福祉・医療施設の建設費について」【PDF】2023年度広域型特養の平米単価より算出(https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/240628_No001.pdf
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